リモートでベテランセドラーに「弟子入り」
まずはせどり修業中というDさん(52)に話を聞いた。Dさんは地方都市に住む自動車部品メーカーのエンジニア。年収は700万円で、妻と二人暮らし。
「実は数年前まで、コンサートやスポーツイベントのチケットの転売をやっていました。2000年ごろ、偶然購入したジュディマリ解散コンサートの1万円のチケットが、ヤフオクで7~8万円で売れたのに味をしめちゃって。2019年にネットのチケット転売が禁止されてからはやってません」
そんな個人間売買経験者のDさんだが、せどりは練習が必要だと考え、ネットで見つけた「せどりのお手伝い募集、利益の10%還元」という内職に応募したのだ。経験者への「弟子入り」である。
師匠は個人の副業セドラー。直接会うことはなくリモートの弟子入りだ。Zoom(ズーム)で顔を合わせた師匠は、自分よりもやや年下のおじさんだった。
師匠はアメリカ発の「eBay(イーベイ)」を活用して、輸出せどりをやっていた。イーベイはオークションサイトだが、メルカリやヤフオクとは規模が違う。アマゾンに次ぐ売上を誇るグローバルECサイトで、世界中のセドラーが出品し、世界中の顧客が買い物する場だ。
Dさんはせどりで最も手間のかかる「商品リサーチ」を頼まれた。「イーベイの検索窓にCute(かわいい)とかCool(かっこいい)という形容詞を入れ、上位に表示されるものから人気商品のあたりをつけろ」というナゾのアドバイスをもらったという。師匠は「儲かりそうなら何でも売る」タイプのセドラーだった。
商品を見つけたら、今度はメルカリなど国内のフリマサイトで、同じような商品が安く売り出されていないか探す。
「トレーディングカードやお酒の瓶、釣り竿やキャンプ道具など、あらゆる日本製品をメルカリやヤフオクで漁りました。特に日本のアニメのフィギュアはメイン商品です」
送料込みで利益が出そうなら購入して、イーベイに出品する。
「最初のころ、メルカリから2000円で購入したONE PIECEのフィギュアが、アメリカ人におよそ2万円で売れた時はうれしかったですね」