3月21日、クレムリンで開かれた歓迎式典で握手する習近平主席とプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「私の今回のロシア国賓訪問は、友誼の旅、協力の旅、和平の旅だ」

 3月20日から22日まで、中国の習近平主席がモスクワを訪問。習主席は出迎えたプーチン大統領に、こう告げた。

 だが実際には、9回目となる今回のロシア訪問は、「プーチンを救う旅」、そして「ロシアを従える旅」だった。

「独りぼっちのプーチン」に救いの手

 モスクワ時間の20日午後2時過ぎ、クレムリン宮殿で歓迎式典に臨んだ習近平主席は、実に41回目となるウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談に臨んだ。初日は、プーチン大統領の希望に応じた「テタテ(通訳だけを交えた1対1)会談」で、計4時間半に及んだ。

 その冒頭で、記者団を前に、習主席が強調した。

「ロシアは来年、大統領選挙が行われる。あなたの堅強なリードのもと、ロシアの繁栄実現に向けて長足の進展を遂げた。ロシア国民が必ずや、引き続きあなたに確固たる支持を与えることを、私は固く信じている」

 会ったのっけから、カメラの放列を前に、来年3月のロシアの大統領選挙に言及するなど、異例である。そもそも、後に出した中ロ共同声明では、「内政不干渉」を謳っているので、矛盾がある。

 つまり習近平主席は、「盟友プーチンを救う」という目的を、明確にしたのである。プーチン大統領は周知のように、ウクライナ戦争の戦況に行き詰まり、7万人とも言われる戦死者を数えたことで、ロシア国内で戦争責任を問う声が出始めている。17日には、国際刑事裁判所(ICC)から、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、逮捕状を出されてしまった。