3月26日、中国の釣魚台国賓館で国交樹立の共同コミュニケに照明して握手するホンジュラスのエドゥアルド・レイナ外相と中国の秦剛外相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「宏都拉斯」と「洪都拉斯」の違いが分かるだろうか? 同じ4文字の漢字で、最初の「宏」と「洪」の文字が異なるだけだが、このたった一文字の違いが、国際関係の世界では大ごとなのである。

 どちらも、人口約1000万人の中米の国、ホンジュラスを表している。前者は台湾の表記で、後者は中国の表記だ。

中国に切り崩される台湾の友好国

 3月26日、「宏都拉斯」は「洪都拉斯」に変わった。すなわち、ホンジュラスは台湾と断交し、中国と国交を結んだ。

 この日、北京で、中国の秦剛(しん・ごう)外相と、ホンジュラスのエドゥアルド・レイナ外相が、満面の笑みで握手を交わし、「国交樹立に関するコミュニケ」に署名した。CCTV(中国中央広播電視総台)のアナウンサーは、同日のニュースで、声高らかにコミュニケの全文を読み上げた。

<中華人民共和国とホンジュラス共和国は、両国国民の利益と願いに基づき、署名した日をもって相互に大使級の外交関係を樹立することを決定した。両国政府は相互に主権と領土保全を尊重し、不侵犯、内政不干渉、平等互利、平左共存の原則を基礎とした両国の友好関係を発展させていくことで合意した。

 ホンジュラス共和国政府は、世界にはただ一つの中国しかないこと、中華人民共和国政府がすべての中国の唯一の合法政府を代表すること、台湾は中国の領土の不可分の一部であることを承認する。ホンジュラス共和国政府は即日、台湾との「外交関係」を断絶し、二度と台湾といかなる公的関係も持たないこと、いかなる公的往来も行わないことを承諾した。中華人民共和国政府は、ホンジュラス共和国政府の上述の立場に対して、称賛を表す。