以下に紹介するのは、2010年3月31日、愛媛県の松山市内で行われたシンポジウムの未公開記録です。
この日は、事故直後から取材を続けていた冤罪事件「愛媛白バイ事件」(愛媛県警の白バイと高校生のバイクの衝突事故)の国賠訴訟判決の日で、私自身も仙波さんと共に判決報告会でシンポジウムに登壇していました。
愛媛白バイ事件の詳細については省きますが、この日、仙波さんは自身の体験に基づいた警察内部の問題と「冤罪」が生み出される捜査のカラクリについて厳しく指摘していました。
講演の一部を抜粋しますので、ぜひお読みいただければと思います。
警察組織を防御するためには、誰でもいいから犯人に仕立て上げる
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私は、愛媛、高知で起こった、いずれも白バイが当事者となったこれらの事故の話を聞くたびに、元警察官として恥ずかしくなるんです。こんな理不尽なことが、今、四国で立て続けに2件も起こっているということは、同じような事件が、実は全国でたくさん起こっているという裏返しでもあるのです。
では、なぜこのようなことが頻繁に起こるのか? 答えは簡単です。「警察組織」を防衛するためには、警察が悪いことをした側、つまり、絶対に犯人側になってはいけないのです。警察組織を守るために、全ての警官が必死で動いているのが現状です。

これは、警官をやっていた者でないとわからないことなのですが、本当のことを本音で言えるのは、25万人の現職警官と、15万人の警察OBの中で、おそらく私一人しかいないでしょうね。
なぜ私だけなのか、ということについてはあとで詳しくお話ししますが、そもそも、これが一番の問題だと思っています。
「警察側が犯人になってはいけない」という組織の大前提は、この二つの事件を取り上げて検証すればはっきり見えてきます。つまり、その目的のためなら、誰でもいいから犯人に「仕立て上げる」ということが、あたりまえのように、おこなわれるわけです。