ソフト開発しただけで「著作権法違反ほう助」なのか

 ストーリーは、2002年に開発されたファイル共有ソフト「Winny」をめぐる大事件を主軸に展開していきます。

 この革新的ソフトの開発者である金子勇さん(通称「47氏」=当時東京大学助手)は、2004年、著作権法違反ほう助の疑いで、京都府警本部ハイテク犯罪対策室と五条警察署によって逮捕されます。このソフトを使って多くの人が映画や音楽、ゲームなどを違法にアップロード、ダウンロードしたことで、ソフトの開発者である金子さんが罪に問われたのです。

 映画では、俳優の東出昌大さん扮する「被告人」の金子さんが、気骨ある弁護士たちと心を通わせながら、最高裁で無罪を勝ち取るまでの7年間の闘いが描かれています。

開発者・金子勇を演じた東出昌大(右)とサイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光を演じた三浦貴大(映画『Winny』公式サイトより)

 ちなみに、Winny事件の主任弁護人をつとめた秋田真志氏は、私の中学時代の同級生です。私自身、過去に秋田氏の手がけた冤罪事件をいくつも取材させていただいており、刑事弁護にかける彼の姿勢にはいつも驚嘆するばかりです。

 劇中では演出もあって、秋田弁護士が少し年季の入った「伝説の刑事弁護人」として描かれていましたが、実際には彼が40代前半のときからこの事件に携わっていたことになります。