映画『Winny』にも登場するニセ領収書

 さて、本稿ではこの映画のもうひとつのストーリー、警察の「裏金問題」を告発した元愛媛県警の仙波敏郎氏にスポットを当ててみたいと思います。

 1949年、愛媛県生まれの仙波氏は、24歳のとき、愛媛県警の上司から裏金作りのための「ニセ領収書」を書くよう迫られましたがそれを拒否。以来、警察組織から壮絶な圧力を加えられながらも「警察官が罪を犯してはならない」という信念を貫き、一度も裏金作りに手を染めなかった人物です。

 2005年には警察の裏金作りの実態について実名で内部告発を行い、この映画では俳優の吉岡秀隆さんが仙波氏役を演じ、当時の壮絶な出来事が事実に沿って描かれています。

 そもそもなぜ、コンピューターソフトの問題を扱った『Winny』という映画で、仙波氏と愛媛県警との闘いが描かれることになったのか……。

 それについては本作をご覧いただければお分かりになると思います。しかし、それ以前に、警察の「裏金問題」についての基礎的な知識がない方からは、劇中で出てくる「ニセ領収書」作成の場面の意味がいまひとつ理解できなかった、という声がいくつか届きました。

 そこで、これから映画をご覧になる方のために、仙波さんご本人のメッセージをお伝えしたいと思います。