私は犬肉を食べ、そして蚕を口に運んだ。素揚げにされた蚕は、スナック菓子のようにピンと伸びて、中身は空洞。ただ、途中でぐじゃりとする小さなものにあたったが、それが内臓の成れの果てなのだろう。日本で繭をとったあとの蛹は食べたことがあったが、桑の葉の上を這いつくばる蚕を食べたのはこれが初めてだった。

写真は、2018年6月、中国広西チワン族自治区玉林市で開催された「犬肉祭り」の光景。地元の市場には食用にされる犬が運び込まれていた(写真:ロイター/アフロ)

 そこから料理は回され、さらには一匹の淡水魚の料理が丸テーブルの中央に置かれて、宴席は盛り上がっていった。

 これがご馳走だった。そして、貴重なタンパク源だった。それを特別な行事のときに、村人が分け合って食べる。それが生き抜くための知恵でもある。

昆虫食の普及は食の貧困化の裏返し

 あれから20年近くが経つ。中国の著しい経済成長は世界が知るところだ。そこに日本が貢献したことも事実だ。

 経済成長とともに生活水準が上がると、食も高度化する。食用油の消費量が増え、肉食が広がる。

 いまでは世界の大豆の輸入量の約6割を中国が占める。油糧種子の大豆は食料油を搾油したあとの残りかすが重要な畜産飼料となる。中国の食肉生産量は世界トップで、世界の豚肉のおよそ半分は中国で消費されている。

 1人当たりの食肉消費量でも2019年には米国が128kgとトップで、中国はちょうどその半分の64kgと第5位だが、それでも日本の51kgを上回る。