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(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国の習近平国家主席が8月11日、食べ残しなど飲食の浪費行為を徹底的に制止し、節約習慣を教育する重要指示を行った。この指示が、かなり異常で過剰な地方政府や業界の反応を引き起こしている。習近平の“倹約令”は今に始まった話ではないが、なぜ今さら「食べ残し禁止」の重要指示なのか。

 国営通信社の新華社によれば、中国共産党中央総書記であり国家主席であり中央軍事委主席である習近平の指示は、次のようなものだった。

 まず習近平は「飲食の浪費現象は目に余る驚きであり、心が痛む。皿の中の食事にどれだけの人々の苦労が詰まっていることか。我が国の食糧生産は豊作年が続くが、食糧安全に対しては終始危機意識が必要だ。今年は新型コロナ肺炎のパンデミックの影響があり、さらに我々は警鐘を鳴らさねばならない」と強調した。

 そして、立法を強化し、監督管理を強化し、効果的な措置をとるための長期的に有効なメカニズムを打ち立て、飲食浪費行為を断固制止せよ、と指示を出した。このために宣伝教育を強化し、切実に節約習慣を教育し、社会全体で浪費を恥とし節約を栄誉とするムードを作るように求めた。

 習近平はこれまでも食糧安全と節約励行・浪費反対を提唱する社会のムードを重視し、何度となく飲食浪費行為の制止を強調してきた。2013年1月に倹約を求める重要指示を出して以来、何度も同様の指示を出し、厳格な制度の執行、効果的な監督検査、厳粛な懲戒メカニズムなどを求め、公金消費における各種の違法行為や規律違反を抑制してきた。

 第18回党大会以来、各地域の各部門は、習近平の重要指示の精神を徹底して実施し、「光盤行動」(皿を空にする行動)などのキャンペーンを展開して浪費ムードをけん制し、“舌の上の浪費”現象を改善させてきた。これにより、特に大衆からの反発が強かった公金による飲食浪費行動を抑制することができた。だが、一部地方では飲食浪費が依然存在しているので、関連部門は習近平の重要指示精神を徹底的に実施し、さらに効果的な措置を制定し、社会全体で飲食浪費抑制を推進しているところである──。以上が新華社が伝える今回の指示の概要だ。