今年2月にアフリカ東部を襲ったサバクトビバッタの大群(写真:AP/アフロ)
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(譚 璐美:作家)

 AFP通信(8月15日)によれば、中国の習近平国家主席が、食品廃棄の問題に取り組んで、「光盤(皿を空にする)」キャンペーンを始めた。

 もともと中華料理は大勢で食べる文化的習慣があり、レストランでは「N+1品&スープ」、つまり、人数より1品多い料理とスープを注文するのが常識になっている。4人で食べるなら5品の料理とスープ、6人なら7品とスープという具合だ。

 それを今回のキャンペーンでは「N-1品」、人数より1品少なく注文し、食べ残しが出ないようにしようと推奨しているのである。

 2018年に中国科学院が発表した報告書によると、レストランで客の食べ残しを廃棄した量は、1人当たり毎食93グラム。大都市では毎年1800万トンが廃棄されているという。

 だが、このキャンペーンは食料廃棄の問題というよりも、今秋以降、予測される食料不足に備えるための切実な問題提起なのだ。

バッタ駆除のため10万羽のアヒルを投入?

 中国では6月初旬から2カ月近く続いた豪雨の後、8月の台風シーズンに入って、長江、淮河、黄河など主要な河川流域で大洪水が発生した。とりわけ長江下流域の湖北、湖南、安徽、江西、江蘇各省は、中国の農産物の約24%を生産する穀倉地帯で、農作物が深刻な被害をうけ、今秋の収穫が大幅に減少すると予想されている。

 それに加えて、蝗害も発生した。

 蝗害は世界的に発生しているが、なかでもサバクトビバッタは、アフリカで大発生し、中東、南アジアで猛威を奮い、5月上旬に約4000億匹がインドに侵入。パキスタンで全農作物の約15パーセントに被害をもたらした。その後、インドからネパールまで東進しているが、中国への侵入はまだ確認されていない。国連食糧農業機関(FAO)は、もし中国に襲来すれば、その時点で個体数が500倍になっているだろうと推計した。

サバクトビバッタ(ウィキペディアより)
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