農家にしても、日本と契約したほうが収入は高く、指示される通りに作業を進めればいいから、楽ができる。
そのうちに、思い切ったことをする日本の冷凍食品メーカーが出てきた。農家個人ではなく、まるごと村と契約したのだ。
日本企業を大歓迎した中国の農村
その村は、山東省の青島から車で数時間かけた内地にあった。人の背丈を超えるほどの桑畑の間を抜けると、広大な耕地が開けていた。それも日本企業と契約したあとで、桑畑を切り拓いたものだという。
そこではまだ、牛が農機具を引いていたり、若い夫婦がふたりがかりで耕作器具を押していたり、つまりトラクターなどを使わない手作業と肉体労働で、日本人のために広い畑を耕していた。
それでも、地元の村長は「日本の企業と契約してよかった」と言った。「桑畑しかなかった貧しい村に光明がさした」とも言った。「娯楽もなかった村の若者が、これからもっと豊かになれる」と期待する言葉を語っていた。