100兆円のコロナ対策の検証が必要だ

 では最後の有力容疑者、ワクチンについてはどうだろうか。ワクチンは人為的に感染させる薬剤だから、リスクはゼロではない。特にコロナワクチンは特例承認という例外的な手続きで、副反応がゼロとは保証できない段階で承認したので、裁判で個別には因果関係を立証できるだろう。

 しかしそれは感染症対策としてワクチンを接種すべきかどうかという政策とは別である。ワクチン接種後に死亡した人は約1900人で、そのうち国が責任を認めて死亡一時金を支給したのは30人である。これだけで6万人の(コロナ以外の)超過死亡は説明できない。

 次の図は、ワクチンの接種回数(部分接種を含む)である。2022年2月に追加接種が始まったあと、超過死亡が大幅に増えたが、2021年に接種回数が最大だったときは死者はそれほど増えていない。第5回接種では相関は崩れている。

図3 ワクチン接種回数と超過死亡数(仁井田浩二氏)

 医学的にはワクチンが重症化を防ぐ効果は証明されているので、ワクチン接種しなかったらももっと多くの人が死んだはずだという論理も成り立つが、ワクチン接種で日本人の免疫機能が破壊された可能性もある。これは今後も医学的な検証が必要である。

 総じてワクチンのメリットはリスクより大きかったといえるが、日本の場合は高齢者や基礎疾患をもつ人に限定すべきだったかもしれない。若年層の5回目以降の接種は、ほとんど意味がない。

 今のところ超過死亡の原因について決定的なことはいえないが、一ついえるのは、日本では超過死亡が一貫してコロナ死の3倍と異常に多いことだ。これはコロナ偏重の医療で、他の病気の患者が十分な医療を受けられないで亡くなったことを示唆する。

 コロナは日本人にとっては大きな脅威ではなかったが、政府の対策は欧米をまねた過剰医療だった。それは2020年には無駄であり、コロナの致死率が下がった2022年には見当違いだった。必要なのはコロナ感染を減らすことではなく、すべての患者の命を救うことなのだ。100兆円のコロナ対策の費用対効果は、第三者委員会をつくって検証すべきである。