(福島 香織:ジャーナリスト)
2月28日、中国共産党の第20期中央委員会第2回全体会議(2中全会)が閉幕し、コミュニケ(公式声明書)が発表された。
この2中全会で、両会(3月4日に開幕する全国政治協商会議=全国政協および3月5日に開幕する全国人民代表大会=全人代)で提出される人事と「党と国家の機構改革方案」などが採択された(両会は“ゴム印国会”のようなものなので、2中全会で採択されたことはすでに決定事項といえる)。
コミュニケは抽象的な表現でわかりにくいが、習近平の専制独裁のための権力集中がさらに進められるようだ。それは、例えば「思想と行動の統一を党中央の政策決定に反映させ、党中央の政策決定の権威性と厳粛性を断固維持し、改革の自信と決心を堅く定め、組織指導を強化し、機構改革任務を100%徹底的に行う」といった文言に見てとれる。また「反腐敗闘争の持久戦に断固として打ち勝つ」と言い、大粛清のシグナルも発しているようにも見える。
人事は、習近平の腹心で経験の浅い李強が首相となる国務院(内閣)のメンバーの顔触れや、習近平の秘書役の党中央弁公庁主任に誰がなるか、などが注目されている。だが、それ以上に関心の的となっているのが、「党と国家の機構改革方案」の中身だ。
習近平は過去10年の間にも軍制改革、国務院機構改革を行ってきた。その目的は習近平個人への権力集中であったが、今回の党と国家の機構改革方案は、それだけでは済まないとみられている。
特に懸念されているのは香港紙「明報」(2月23日)などが報じた「中央内務委員会」の創設だ。