1月21日、タイ・バンコクのチャイナタウンで自撮りする若者たち(写真:ZUMA Press/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 中国の春節にあわせた1月21日から27日までの大型連休が終わった。

 昨年末までに中国政府が「ゼロコロナ」政策を終了させて、初めての春節。同政府は大型連休期間中の国内の旅行者数が、のべ3億800万人だったと発表。昨年より23%の増加だった。

 さらに、中国から海外への出国者は、21日から26日までにのべ119万2000人と、昨年の約2倍になったことを国営の新華社通信が伝えている。

 折からの円安。この中国人観光客が日本に押し寄せて、以前のような“爆買い”で日本経済が潤うことに期待もあったが、残念ながら日本に中国人観光客はほとんどやって来なかった。

春節の中国人観光客を「大歓迎」したタイ

 というのも、中国政府の「ゼロコロナ」政策の転換によって感染が急拡大したことを受けて、日本政府が水際対策を強化したことによる。1月4日から中国本土からの入国者に対して入国時のPCR検査と、出国72時間前に受けた検査の陰性証明書の提出を義務付けた。中国本土からの直行便も、これまで通り制限したままだ。

 加えて、中国政府も日本への観光旅行を制限した。中国では必ず国内の代理店を通して日本の大使館にビザを申請しなければならず、ここへきて代理店は一般的な観光ビザの申請を受け付けていない。少なくとも年収が1000万円以上を必要とする、いわば富裕層向けのマルチビザのみだ。

「ゼロコロナ」後の中国の春節に期待していた日本のインバウンド関連事業は、ちょっとした肩すかしを食らったかっこうだ。