M1のエンジンは複雑すぎてウクライナ軍にはメンテナンスができない?

 ロシアの圧倒的な兵力を前に、米欧の軍事支援を受けたウクライナ軍は驚異的な健闘を見せ、広大な領土を奪還してきた。しかしウクライナの反攻はどうやら限界に達し、泥沼の消耗戦に陥っている。ウクライナ軍はドネツク州バフムート周辺のロシア軍との戦いで、毎日3桁の兵士を失っているとも言われる。

 消耗戦を続ける体力は、人口が多く、砲兵火力に勝るロシアの方がある。戦争が長引けば長引くほどウクライナ国民の苦悩も深まる。

 アフガニスタン復興に関わった元オーストラリア軍人で米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)非常勤研究員ミック・ライアン氏は自らのブログで「M1エイブラムス(ディーゼルエンジンではなくガスタービンエンジンを採用)は“複雑すぎて”ウクライナ軍にはメンテナンスができないと言い訳しているのは根拠がない」と厳しく批判している。

「ドイツの指導者が勇気と意志を全く持っていないことは拷問のようなものだ。ウクライナへのレオパルト2の供与を何カ月も先延ばしにしているだけでなく、第三国がレオパルト2をウクライナに渡すことまで拒否している。21世紀の安全保障を真剣に考える国がリーダーシップと戦略的勇気をひどく欠いたドイツと提携したいと思うだろうか」(ライアン氏)

 ロシア軍はT-90戦車のほか新型主力戦車T-14の配備も進めていると言われる。

「ウクライナの兵士が戦場で死んでいるのは旧ソ連時代の古い戦車を使うことを強いられているからだ。今年以降の攻勢に備え、ウクライナにはより高性能な戦車が大量に必要だ」と指摘するライアン氏は、以下に示した7つの課題を挙げる。