韓国の主力戦車K2が浮上

(1)入手可能性
ウクライナは今後、攻勢をかけるために300~500両の新型戦車を必要とする可能性がある。現実には米国のM1エイブラムスとドイツのレオパルト2しかこの条件を満たさない。ただし韓国の第3.5世代主力戦車K2も候補になるかもしれない。

韓国のK2戦車(写真:Yonhap/アフロ)
韓国のK2戦車(Simta, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

(2)ドクトリンと戦術
ウクライナ軍は戦車の使い方を知っており、今回の戦争で他のほとんどの軍隊よりも戦車を上手く運用できることを証明した。

(3)戦略的持続性
戦車や電子サブシステムのメンテナンスは西側戦車を導入する上で重要だ。多少の改造は必要かもしれないが、旧ソ連時代の戦車を運用してきたウクライナ軍はすでにこうした機能を持っている。

(4)訓練
既存の戦車運用者として訓練システムの多くはウクライナにすでに存在しているが、西側の新型戦車を運用するには進化とアップグレードが必要だ。

(5)戦場での支援
機甲戦には指揮車と同様に機械化された戦闘工学が不可欠だ。M1エイブラムスとレオパルト2にはこの要件を満たすさまざまな車両がある。

(6)戦術的ロジスティクス
ウクライナは既存の戦車運用者として戦車を戦場で適切に支援・維持するために必要なシステムと組織を理解している。全く新しい組織を設立する必要はない。

(7)デジタル戦闘指揮支援システム
戦車は現代の戦場におけるデジタル情報管理および指揮のための保護されたハブとして重要な役割を担っている。戦術情報の共有、目標の調整などはすべてデジタル戦闘管理ネットワークで最も効果的に行われる。戦車に搭載されるデジタルシステムが統合軍チームの他の部分とリンクできるようにする必要がある。

 米国は中国による水陸両用の台湾侵攻をにらみ、喫緊にM1エイブラムスなどで台湾の地上戦力を強化する必要に迫られている。ウクライナへは欧州のドイツ製レオパルト2を回してほしいとの本音が透けて見えてくる。米国にとってロシアよりもっと怖いのは中国であることに疑いを差し挟む余地はない。

 昨年10月以降、クレムリンはキーウを狙ったウクライナ北部への再侵攻のための条件を整備してきた。ロシアは30万人の部分動員に加え、春から夏にかけての新たな攻勢に備え、50万人の追加動員を準備していると言われる。「春攻勢」の恐れが膨らむ中、ウクライナの防衛力を高めるには新型戦車の提供は不可欠と思われるのだが……。