閉鎖環境滞在試験とは?

 国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、長期間にわたって狭い船内で強いストレスに耐えなければなりません。そのような環境で人間にはどのような影響があるでしょうか。

 これを調べる実験が、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の閉鎖環境適応訓練設備(以下、閉鎖設備)で行なわれました。長さ約11 m、直径約4 mの円筒を2個つなげた構造の閉鎖設備に、8名の被験者が2週間泊まりこみ、血液や分泌物にストレスによる変化が現れるかどうかモニターされます。被験者の精神状態や感じているストレスは、研究者との面談によって判定されることになっていました(ここは重要)。

 この研究の予算は、JAXAの研究予算と、「科学研究費補助金(科研費)」によってまかなわれました。

 科研費とは、日本のほとんどの科学研究のスポンサーとなっている競争的な予算です。研究者は個人やグループで、自分の研究のための科研費を申請し、うまく「当たれば」、つまり承認されれば、研究予算が支給されてその研究が実施できます。

 科研費で行なわれた研究の成果や予算は公開されているので誰でも見られます。

 この閉鎖環境試験は、古川聡宇宙飛行士を研究代表者とする科研費研究「無重力・閉鎖ストレスの統合的理解」*1によって実施されました。この研究の予算や研究メンバーは科研費のサイトに公開されています。それによると、実施年度は2015年度から2019年度、予算は総額約9400万円です。

 科研費の用法についてご存じないと少々分かりにくいかもしれませんが、この「無重力・閉鎖ストレスの統合的理解」という研究テーマは、別の大規模な研究「宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解」*2の一部です。

「宇宙からひも解く・・・統合的理解」は、これも古川聡宇宙飛行士を研究代表者として、2015年度から2019年度に総額約16億円を支給されています。「無重力・閉鎖ストレスの統合的理解」は、「宇宙からひも解く・・・統合的理解」に含まれる58件のさまざまな研究テーマのひとつです。