(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)
独裁は中国の普通の姿
昨年(2022年)、中国共産党大会後の10月24日に、新聞各紙に「習氏の独裁完成」(産経)、「習氏一強が完成 新体制」(朝日)、「習氏3期目、長期政権入り」(日経)などの見出しが躍った。
私はそうした新聞各紙の評価に対して、強い違和感を抱いた。確かに側近でまわりを固めた体制が一強体制であることは間違いない。
だが、そもそも中国という国の政体は独裁こそが通例である。習体制が3期目に突入したことで独裁が「完成」と言うが、ではそれ以前の体制は独裁ではなかったのか? という批判の声も少なくない。
歴史を振り返ると、紀元前246年の始皇帝に始まり、1911年の辛亥革命によって清王朝が倒されるまで、中国では王朝支配が続いてきた。辛亥革命後も、袁世凱、張作霖などが権力を握ったが、民主政治とは程遠いものであった。
その後、毛沢東率いる中国共産党が1949年10月に中華人民共和国の成立を宣言するまで、日中戦争や、中国共産党と国民党との間での国共内戦などがあり、やはり民主政治どころではなかった。中国憲法前文にも、「1911年、孫中山先生の指導する辛亥革命は、封建帝制を廃止し、中華民国を創立した。しかし、帝国主義と封建主義に反対するという中国人民の歴史的任務は、まだ達成されなかった」とある。