(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)
10月22日に閉会した中国共産党大会で習近平体制が3期目に突入することが決定した。
習近平が権力に固執する理由については彼の性格や経歴との関連で分析されることが多いが、ここでは視点を変えて、なぜ9000万人以上もいるとされる共産党員が、習近平国家主席がルールを破って3期目に入ることを容認するのか、その理由について考えてみたい。
共産党員の「上に対する恐怖」
第1に考えられることは「上に対する恐怖」である。
共産党は上から下へ何層にも重なったピラミッド構造になり、各階層の党員には直属の上司がいる。習近平の子分が直属の上司になった場合、下層にいる共産党員はその命令に従わざるを得ない。心の中では習近平に反発していても、習近平を支持しているように振舞わなければならない。