ミサイル駆逐艦「チェイフィー」から発射されたトマホークミサイル(太平洋上で、2020年11月30日撮影、米海軍のサイトより)

まず防衛産業の育成から始めよ

 国家安全保障戦略(安保戦略)が決定する前に、なぜ高い兵器を購入することが決まるのか。日本は、戦い方と抑止力を検討して、どの武器を持つべきなのかよく考えるべきだ。

 今年の11~12月にかけて、2つの海外の武器を購入することがほぼ決まったようだ。

 フィンランド製装輪装甲車500両は、一般的な装甲車の価格1両概ね約5億円という情報から算定すると約2500億円、米国製のトマホーク500発は、英国防省が購入した価格を参考にすると約1500億円だ。

 相当高価な買い物である。

 この2つの買い物は、日本の安保戦略を検討中であるにもかかわらず決まったことだ。

 これらは2つとも、日本防衛の主役あるいはほぼ同じ役割を担う。それなのに、なぜ外国製なのか。

 しかも、日本の防衛基盤を育成しなければならないことが求められているのにもかかわらずだ。

 極めて高価な買い物をしなければならず、膨らむ防衛予算をどうやって確保しようかと、国会で議論されている。

 しかし、実は自民党内でも意見が分かれている。

 高い買い物をするのであれば、本当に必要なものなのか、数量は適切か、他に方法はないのか、今後の日本の防衛産業の発展性(将来性)はどうなのか――。

 どれも大きな問題であるにもかかわらず、一つも提起されていない。

 日本の防衛問題の焦点および日本の防衛の意識・感覚にズレがあるのではないかと、不安を感じざるを得ない。