(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)
外観からわかる「デリカミニ」の特徴
コロナ禍で打撃を受け、懸命に経営再建を図っている三菱自動車が思わぬ“飛び道具”を繰り出した。軽スーパーハイトワゴンの新商品「デリカミニ」である。2023年1月の「東京オートサロン」でプロトタイプを公開、同年初夏の発売を予定しているという。
現在、外観の写真が三菱自のティザー(事前情報)サイトに掲載されているが、オフロード車をブランドイメージの旗印のひとつとしてきた三菱自らしさを上手く盛り込んだものとなっていることが一瞥して分かる。
プロテクター風のバンパー上とバックドア上のガーニッシュ上に「DELICA」のレター。グリルは縦型の長方形スロットが並んだ野趣のある造形。ヘッドランプは角型のレンズカバーに半円形のポジションランプが仕込まれたもので、目つきに力感がある。車体側面のホイールまわりは黒い樹脂製。軽自動車の車幅制限1480mmをはみ出すわけにはいかないためあくまで装飾的なものだが、ワイルドな雰囲気を出すのに一役買っている。
そもそもデリカとはどういうクルマなのかを簡単に紹介しておこう。初代が発売されたのは1969年で、トラック、貨物バン、3列シートの多人数乗車ワゴンと、幅広い仕様が作られた1ボックスモデルだった。
当初はごく普通のミニバンだったのだが、初代のころからフォルクスワーゲンのミニバス「Type2」のように屋根上に可動式のテントを展張できる「キャンピングバン」がラインアップされるなど遊び心重視の商品企画がなされていた。
2代目になるとそれが高じて次第にオフロード車的なカラーを強めていき、本格オフロード車並みの210mmという最低地上高を持つ第3世代「デリカスターワゴン」が大ブレイク。オフロードミニバンという評価が定着した。
そのキャラクターは後継の第4世代「デリカスペースギア」、そして現行モデルの「デリカD:5」へと受け継がれている。デリカD:5が発売されたのは2007年で、すでにモデルライフ15年目というオールドモデルとなっているが、オフロードミニバンといえばこれしかないため、今なお一定の需要があるほどだ。