ブルームバーグNEFによると、世界のEV販売台数に占める中国の割合は15年の26%から昨年は48%、今年前半には56%に達した。今年末にはシェアが60%を超えるような大きな波が来ると予想する。トラック、バス、二輪車でのシェアはさらに大きい。

バッテリーとEVのサプライチェーンを支配する中国

 ブルームバーグNEFのコリン・マッケラチャー記者は「中国、今年のEV世界販売シェア6割に王手」という記事の中で、中国のEVについて次のポイントを指摘している。

(1)中国製EVの平均航続距離は420キロメートル
中国では250種類近くのEVが販売されている。今年販売されたモデルの平均航続距離は420キロメートルだった。平均航続距離は18年以降、42%も上昇した。

(2)リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのシェアが拡大
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーはコバルトやニッケルを含まず、他のEV用バッテリーに比べて安い。中国ではリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載する新車種が急増し、半分を占める。来年は世界的にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの採用が進みそうだ。

(3)EVの販売が大都市以外でも広がる
充電インフラが整う上海や北京では数年前からEVの普及率は高い。しかしこの2年間でEVの販売は小さな市や町にも急速に広がり、電動化が大都市だけの現象ではないことが浮き彫りになっている。

 リチウムイオンバッテリーからEVまでのサプライチェーンにおけるデータを収集し、分析しているベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス(ロンドン)によると、EV用バッテリーを製造するのに必要なリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンのほとんどは中国国外で採掘されているが、こうした鉱物の大半は中国で精製・加工されている。

 その割合はリチウム44%、コバルト75%、ニッケル69%、マンガン95%、ノジュラー鋳鉄100%、人造黒鉛69%だ。今年、バッテリーセル製造の占有率は70%に達すると予測されている。中国はバッテリーの正極生産をほぼ独占し、負極生産の4分の3以上を占める。中国のバッテリー支配は15年、外国企業を市場から事実上追放した政策決定から始まった。