中国・上海の石炭火力発電所(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[シャルム・エル・シェイク(エジプト)発]米中間の対立が強まる中、ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が14日、インドネシア・バリ島で会談した。ウクライナ戦争のような最悪の危機を回避するのが狙いだ。国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に合わせて米中両国の気候変動対策交渉も再開することで合意した。

米中首脳会談で気候交渉が3カ月ぶりに再開

 バイデン氏が大統領に就任後、両氏が実際に会って話すのは初めてのことだ。米中首脳の対面会談は3年5カ月ぶり。会談は3時間を超え、「中国との冷戦は不要」(バイデン氏)と緊張緩和に努めた。今年8月、ナンシー・ペロシ米下院議長ら米下院議員団が台湾を訪問したことへの報復として、中国は気候変動問題を含むすべての米中協力を停止していた。

 米ホワイトハウスは米中首脳会談に合わせ「米中両国は気候変動、世界経済の安定、健康や食糧の安全保障など国境を越える課題に協力して取り組む。両首脳は対話を維持し、建設的な努力を模索するために主な高官に権限を与えることで合意した。特定の問題に対処する継続的な努力を歓迎し、共同作業グループを含む既存のメカニズムを前進させる」と発表した。

 気候変動問題は主要排出国の中国と米国が足並みをそろえなければ前に進まない。エネルギー大手BPの調べでは、昨年の二酸化炭素排出量は中国が世界ワースト1の31%、米国がワースト2の14%。米国はドナルド・トランプ前大統領時代、気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱したため、州レベルでの取り組みにとどまっていた。