驚いたことに映画のタイトルまで彼らに相談された。「ナイト・フィーバー」だとポルノっぽいから、『サタデーナイト・フィーバー』で。映画で彼らが売れたのではなく、彼らの音楽ありきで映画がヒットしたのだ。今でもディスコといえば、ポーズと共に思い起こされる「フィーバー」という言葉。社会現象に火をつけたのはビー・ジーズの功績だったのである。

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 とはいえ、私がいちばん、驚いたのはそこではない。どんな不運も才能で乗り越えてきたビー・ジーズ。彼らにもどうにもできないことがあった。

ディスコミュージックに突然吹き始めた逆風

 彼らが表舞台から消えてしまったのはなぜなのか。それもまた彼らを救ったディスコ音楽のせいだったのである。

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 ディスコ=黒人、ゲイのイメージから、ディスコ音楽に対するヘイト活動が激化。命を狙われる羽目になったビー・ジーズはライブ活動ができなくなり、爆破宣告されたラジオ局は彼らの曲をかけるのをやめ、次第に彼らの人気は収束していった。今や大問題のヘイトクライム。その概念は1970年代後半のアメリカ合衆国で生まれた。ビー・ジーズはその最中にあったのだ。

 彼らのような楽しい、美しい音楽を作り、奏でる人たちでさえ、ヘイトクライムの前にはなす術がないのか。もし、活動を続けられていたら。救われるのは彼らの曲がただの流行で終わらず、廃ることなく、現在でも愛され続けている点だ。既にバリー以外の二人は他界。どんなに評価が見直されようと、あの奇跡のハーモニーをもう生で聞くことはできないが。

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『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』

11/25(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにて公開決定!

配給:STAR CHANNEL MOVIES

監督:フランク・マーシャル

製作:ナイジェル・シンクレア、ジーン・エルファント・フェスタ

脚本:マーク・モンロー

出演:バリー・ギブ、ロビン・ギブ、モーリス・ギブ、アンディ・ギブ、エリック・クラプトン、ノエル・ギャラガー(オアシス)、ニック・ジョナス(ジョナス・ブラザーズ)、マーク・ロンソン、クリス・マーティン(コールドプレイ)、ジャスティン・ティンバーレイクほか

2020年/アメリカ/英語/カラー/111分/

原題:The Bee Gees: How Can You Mend a Broken Heart/日本語字幕:大渕誉哉/字幕監修:吉田美奈子 

配給:STAR CHANNEL MOVIES

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公式サイト: thebeegees-movie.com