北方限界線では一触即発の危機
事実、北朝鮮は11月2日、米韓側が海上の軍事境界線と位置付ける北方限界線(NLL)南方に弾道ミサイルを撃ち込んだ。韓国側もNLL北方へのミサイル発射で応じた。
一歩誤れば、戦争勃発だった。朝鮮半島の緊張状態は一気に高まっている。
11月2日午前8時55分、韓国のテレビ画面には警告音とともに、画面の下半分に大きく「空襲警報発令」と表示された。
同警報の発令は、北朝鮮が(人工衛星打ち上げと称した)長距離弾道ミサイルを発射した2016年以来だった。
韓国メディアによると、警報対象となった東部の鬱陵島(ウルルンド)では、公務員ら100人以上が地下施設に避難。韓国航空当局も日本海上の一部の航空路を一時閉鎖した。
北朝鮮の「狂気の沙汰」は、米韓両軍が実施している5年ぶりの大規模訓練「ビジラント・ストーム」(Vigilant Storm=油断なき嵐)への警戒感の表れ、というのが日米韓の軍事専門家の大方の分析だ。
「ビジラント・ストーム」には、米陸海空海兵隊の将兵数千人と韓国空軍兵士、海兵隊の最新鋭ステルス多用途戦闘機「F-35BライトニングII」はじめ240機が参加している。
同演習に参加しているのは米韓両軍だけではない。
オーストラリア空軍の「KC30A」多用途タンカー輸送機(MRTT)が空中給油活動の任務を帯びて参加している。
「同演習は米韓による朝鮮半島での地域的演習ではなく、インド太平洋地域での有事の一環としてオーストラリアが加わった。ここがこれまでの同演習とは大きく変わった点だ」(米国防総省関係筋)
北朝鮮のミサイル発射実験が続いていることを受けて、4日に終了予定だった演習は1日延長して5日まで実施することが決まった。
(http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=e&Seq_Code=173551)
さらにグアムと沖縄から戦略爆撃機「B-52」、ステルス戦略爆撃機「B-1」が急遽参加するといわれている。
朝鮮有事に備え、極東米軍事力が集結する雲行きになってきた。