中国は現状維持を放棄した
中国共産党の習近平総書記(国家主席)は党大会冒頭の中央委員会報告(政治報告)で台湾統一に向けて「武力行使を決して放棄しない」と宣言した。
米国内では、習氏が今後5年以内に大きな決断、つまり武力による台湾統一をするとの観測が広がっている。
アントニー・ブリンケン米国務長官は10月17日、スタンフォード大学フーバー研究所でのシンポジウムで「中国による台湾侵攻の時期は早まってきた」と言い切った。
「中国はこれまでの(台湾を平和的に統一するという)現状維持政策を捨て、(武力による)台湾統一のタイムラインをより早める方針に切り替えた」
ブリンケン氏に呼応して、米下院軍事委員会のマイク・ギャラガー議員(共和、ウィスコンシン州選出)は10月18日、危機感を露わにした。
同氏は、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が「米軍事力指数2023年度報告」を発表した記者会見の席上、こう述べた。
「中国は軍事力の近代化に多額のカネを費やし、台湾侵攻のタイムラインを早めてきた。その態勢が整う前にわれわれは切迫感をもって行動せねばならない。米軍事力の近代化はスピード感に欠けている」
「ここ数年、米国の軍事力強化は鈍化しており、エネルギー指向型兵器、極超音速兵器、統合全領域指揮統制システム(JADC2)といった最先端軍事技術のオンライン化は今後6年内には実現しない」
「つまり中国の台湾侵攻には対応できないのだ」
「アフガニスタンからの米軍撤退は米国の対ロ抑止力を弱体化させ、ウクライナ侵攻を許してしまった。これは中国の台湾侵攻を許してしまう警鐘だ」
これを受けてヘリテージ財団のダコタ・ウッド上級研究員はこうコメントしている。