南太平洋諸国のトップを集めて開かれた米国・太平洋諸国首脳会議(9月29日、正面がソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相、右はバイデン大統領、写真:AP/アフロ)

8億1000万ドル支援は気候変動・コロナ対策

 ジョー・バイデン米大統領は9月28、29日、南太平洋地域14か国の首脳をワシントンに呼びつけ、「米・太平洋諸国パートナーシップ」(U.S.-Pacific Partnership)と銘打った新機構を結成した。

 首脳会議では11項目からなる「米太平洋パートナーシップ戦略宣言」を採択、「米国と太平洋諸国との強固な協力関係が築き上げられた」(バイデン氏)と自画自賛した。

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/09/29/declaration-on-u-s-pacific-partnership/

 だがこれはバイデン氏の本心ではない。

 バイデン氏の狙いは、近年、南太平洋への中国の進出を何とか抑え、排除しようとすることだった。

 中国はここ数年、ソロモン諸島に照準を合わせて国交を樹立し、安全保障協定まで結んでいる。

 人口68万6900人のソロモン諸島は貿易額の6割を中国に依存、治安が悪化した際には中国に治安警察の派遣を要請するなど親密な関係にある。

 特にマナセ・ソガバレ長期政権は親中国路線を突っ走っている。

 太平洋諸国地域には大小40か国・地域が点在し、人口は230万人、全面積は地球全体の15%を占める。

 戦後70年、旧日本軍を撃滅した米国は「解放者」として同地域での「覇権」を謳歌してきた。言ってみれば、米国にとってはカリブ海に次ぐ「もう一つの裏庭」だった。

 やりたい放題、したい放題をやってきた。多少の捨て金(経済支援)をやっておけば言いなりになると思ってきた。

 ドナルド・トランプ前大統領は同地域に何ら関心を示さなかった。

 その隙間を縫って着実に動いていたのが中国だった。