ハリス副大統領公邸前にテキサスからバスで移送されてきたベネズエラ出身の女の子(9月17日、写真:ロイター/アフロ)

ついでの訪韓に“弾道ミサイル歓迎”

 日本では馴染みの薄い(?)カマラ・ハリス米副大統領が、安倍晋三元首相の国葬に参列した後、9月29日に韓国を訪問した。

 北朝鮮との軍事境界線沿いにある非武装地帯(DMZ)も訪れた。

 ハリス氏は「北朝鮮では残忍な独裁政権、人権侵害の横行、平和と安定を脅かす違法な兵器計画が見られる」と強い表現で糾弾した。

「米国と世界は、北朝鮮がもはや脅威ではない安定した平和な朝鮮半島を追求する」と表明した。

 ソウルで尹錫悦韓国大統領とも会談した。

 会談後、米ホワイトハウスは、ハリス氏が「日韓関係改善の利益を強調した」と発表した。元徴用工問題など懸案の解決に向けた日韓両政府の協議進展を促した形だ。

 北朝鮮は9月28、29両日、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射、ハリス氏の訪韓に強い反発を示した。

 本来ならジョー・バイデン大統領自ら国葬に参列、「日本国内の評価はどうあれ、日米同盟を戦後最高レベルまで深化させた安倍長期政権の実績を評価すべき」(米国防総省関係筋)だったとの声も聞かれる。

 ハリス氏はその大統領の「名代」という重責を任され、ついでに訪韓し、まだまだ腰の据わらぬ尹錫悦大統領に発破をかけた。

 久しぶりに外交の舞台で舞を舞ったわけだ。しかし、ハリス氏は副大統領だというのに2024年の大統領候補の話題にも上らず、支持率も低迷している。

 その最大の原因は、中間選挙の争点の一つになっている移民問題にある。

 移民問題の最高責任者を任せられたにもかかわらず、成果らしい成果はほとんどない。また失言も祟って、支持率は38.9%(不支持率50.4%)と芳しくない。

https://projects.fivethirtyeight.com/polls/approval/kamala-harris/