「真っ赤な嘘」と「紛れもない真実」
おどろおどろしい内容の本が2冊、相次いで出た。
「The Divider:Trump in the White House, 2017-2021」(分裂の元凶:2017年から2021年、ホワイトハウスのトランプ)
著者はニューヨーク・タイムズのホワイトハウス詰め記者、ピーター・ベイカー氏とニューヨーカー誌記者のスーザン・グラッサー氏。ご夫婦だ。
「The Big Truth:Upholding Democracy in the Age of the Big Lie」(紛れもない真実:真っ赤な嘘の時代に民主主義を擁護する)
著者はCBSワシントン駐在記者のメージャー・ギャレット記者と選挙法専門家のデイビッド・ベッカー氏。ギャレット氏はフォックス・ニュースでも働いたことがある。
ともに主流メディアの第一線で活躍する政治ジャーナリストだ。
ドナルド・トランプ前大統領の4年間の政治をホワイトハウスの中枢で得た未公開の情報を基に真相に迫っている。
それでなくとも、トランプ氏が4年間にやってきた政治にまつわる新事実は連日のように出ている。
トランプ・スキャンダルは、国家機密文書秘匿容疑で家宅捜査を受けたことで8月にピークに達した感があるのだが、どっこい、まだ終わりそうにない。
良識ある米国民は辟易している。
半面、2020年の米大統領選挙で勝ったのはトランプ氏と信じて疑わない同氏とその熱狂的な支持者(「MAGA」族=Make America Great Again )は、ジョー・バイデン氏の民主党主導で進む対トランプ追及はすべて「Big Lie」(真っ赤な嘘)と主張、矛を収める気配はない。
新著2冊がこれまで出たトランプ本と異なるのは、6週間後に迫った中間選挙後に何が起こるのかを予見している点だ。
さらに一歩進んで、数々の不正容疑(特に機密文書秘匿や米議会襲撃事件教唆にからむ重罪容疑)をめぐってバイデン司法省が訴追した時、来年以降、何が起こるかについて予想している点だ。