ガソリン価格高騰は有権者の生活を直撃している(写真は7月20日サンフランシスコとオークランドを結ぶベイブリッジとガソリン価格、撮影:ロイター/アフロ)

国民はトランプ訴追よりインフレ退治

 11月8日投票の米中間選挙まで20日を切った。

 連邦下院は野党共和党優位との見方が強い一方、上院では与野党が激しく競り合っている。

 現時点での両党の議席獲得予想はこうだ。

上院
民主党  47~54
共和党  46~53
下院
民主党  207前後
共和党  210~249

https://fivethirtyeight.com/features/betting-markets-are-treating-the-midterm-elections-like-its-a-presidential-election/

 歴史的なインフレ旋風に見舞われている中で、与党民主党は有権者の目を経済以外に向けようとしているが、思うようにいかない。

 今も共和党内に根強い影響力を保っているドナルド・トランプ前大統領の機密文書秘匿、米議会襲撃事件の教唆疑惑を標的に絞って「共和党の腐敗体質」を激しく追及、「民主主義の危機」を訴えている。

 有権者にとっては政治倫理よりも目先の生活だ。「花より団子」なのだ。

 もっと言えば、「経済」も「トランプ問題」も重要なのだが、どちらを優先すべきかと言えば、「経済」なのだ。

 ガソリンを入れるたびに価格が上がっている。肉や魚の価格まで上がっている。トランプさんがどんな違法行為を働いていようとどうでもよくなる。

 案の定、最新の世論調査(ニューヨーク・タイムズ)では、共和党に投票する党有権者は49%、民主党に入れると答えた有権者は45%、という結果が出た。

 何を決め手にしたかという問いに、44%が「経済」と答えた。(トランプ問題や人工中絶など)経済以外と答えた人は36%だった。

 選挙の行方を左右しかねないと見られている無党派女性票では、共和党が民主党を19ポイントもリードした(9月時点では14ポイント差だった)。

 これも「トランプ」支持とは直結していないはずだ。

https://www.nytimes.com/2022/10/17/us/politics/republicans-economy-nyt-siena-poll.html