何者かによる破壊工作か、燃料満載の列車が爆発して炎上、一部の橋げたが崩れたクリミア大橋(10月8日、写真:AP/アフロ)

クリミア大橋爆破の報復にミサイル84発

 国連総会は10月10日、ロシアが宣言したウクライナ4州の「併合」をめぐる緊急特別会合を開いた。

 ロシアによる併合の試みは「違法で無効」だとして非難する決議案を12日にも採決する。

 国連安保理は対ロ批判を論議しても最終的には常任理事国のロシアと中国が拒否権を行使、具体的には何もできず。

 国連総会だけが国連メンバー大多数の声を代弁するのみだ。

 ロシアのナザリ・ネべンザヤ国連代表は、それでも、かつて全権委員だった松岡洋右氏が国際連盟の椅子を蹴って中座したようなかっこいい(?)行動はとらず、屈辱を受けながらも最後まで居座っていた。

https://gendai.media/articles/-/89212

 国連が機能しないのであれば、ロシアの「暴挙」に物申せるのは、中ロを除く大国で構成される先進国主要7カ国(G7)首脳会議と北大西洋条約機構(NATO)のみ。

 そのG7首脳が11日、オンライン形式の緊急協議を開いた。

 ロシア軍が10月10、11日にウクライナ各地で強行した発電所などのインフラ、民間施設への無差別的ミサイル攻撃を「最も強い言葉で非難する」との声明を出した。

 G7が今年2月のロシアのウクライナ侵攻以来、何度警告を発しただろうか。対ロ経済制裁をその都度、強化もしてきた。

 それでもウラジーミル・プーチン大統領とその側近、そして大多数のロシア国民は「特別軍事作戦」をやめようとしない。

(日本の軍事専門家の間では「プーチンの終わりの始まり」が近づいているといった見方が支配的のようだが、米英ではまだまだ見方が分かれている。その一例を以下、ご紹介しておこう)

https://www.vox.com/world/2022/9/20/23362290/russia-ukraine-china-technology-west-war

 ウクライナもNATOから近代兵器の補給を受けて抵抗を諦めない。

 そして今回は「虎の尾」を踏んでしまった。

「何者」か(ウクライナの攻撃だとロシアは見ている)によってウクライナ南部クリミア半島支配の象徴であるクリミア大橋の爆発させたのだ。

 プーチン氏は面目を失った。無差別攻撃は、それに対する報復だった。

 ロシア軍は84発のミサイルを発射させて、2月24日の侵攻開始後、ロシアが仕掛けた最大規模のミサイル攻撃となった。

 G7がロシアのウクライナ侵攻について非難声明を出すのはこれで何回目だろう。今回の声明もこれまで同様の警告だ。

一、ロシアが核や生物・化学兵器の使用に踏み切った場合は重大な結果を招く。

二、可能な限りウクライナに支援を続ける。

三、対ロシア経済制裁の継続、強化。

四、ロシアからの没収資産の活用を視野に入れた対ウクライナ復興支援を行う。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も参加し、ロシアの戦費調達を阻むため「ロシア産石油と天然ガスに厳しい価格上限措置が必要だ」と要求した。さらなる経済・軍事の支援を求めた。