(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 韓国人は日本経済を心配している。特にこの頃は「日本は本当にこのままで大丈夫なんですか」と、真剣な眼差しで語りかけてくるのだ。

 ついこの前までは、韓国ウォンに対する円安だった。その時は、韓国人と話をすると「日本円は弱くなりましたね。困ったものです。何とかならないんですか」と、よく叱られたものだ。まったく苦笑を禁じ得ない。円安で彼らがどれだけ損をしているのか知らないが、日本経済を動かす神の手になどなれはしない。「あなたも困っているでしょう」と同情を見せる人もいるが、私は投機などには手を出さない根っからの人文学系の学者なのだから、そんなご心配は大きなお世話だと心の中で切り捨てていた。

 するとそのうち、ウォンもあれよあれよとドルに対して値を下げて、もはや円と大差のない水準のウォン安にまで下落した。数カ月前まで聞かされた小言はパタリと止み、やっと静かに過ごせると思っていたのだが、日本経済の先行きは相変わらず心配のようなのだ。

こんなに安くてやっていけるのか

 でも、今度ばかりは「大きなお世話」だと片づけられない。ご心配のお言葉を頂戴するごとに、私は顔を引きつらせるしかない。