(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
整形の話を学生から振られてしまった。久々の硬直感であった。どう反応してよいのかわからないでいると、学生たちはそんな私の心境などにまったく構うことなく、目や鼻の整形計画についてワイワイと盛り上がっていた。
ここは女子大である。セクハラらしきことは禁物だ。
韓国では政治家を含めた有名人のセクハラや性犯罪があとを絶たないので、セクハラ防止がまるで一大キャンペーンのように官民一体となって叫ばれている。私も所属する大学の指示で、政府関連機関が製作したセクハラ防止教育動画を見させられた。若い学生と接する立場だからこんな動画を見させられるのかと思っていたが、日本人駐在員も視聴するように指導があるのだとか。
なので自分から顔や体形の話を学生相手にすることはないし、そもそも、普段の大学教育の場で、そんな話をしようなどとも思わない。ところが、学生はそうした感覚ではないのだ。
なぜ彼女たちは整形をしたがるのか
それは1年生の日本語の授業だった。基礎文法の学習がそれなりに進んで、日本語で自由に会話させていた。あるグループの会話に混ざろうとして「どんな話をしていたの?」と尋ねたら、「整形の話をしていたんです」と元気な声で返事してくれた。