ニューヨークで初懇談した韓国の尹錫悦大統領と岸田首相(2022年9月22日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 本当にやる気があるのだろうか。

 日韓関係の改善についてである。岸田首相は、10月3日に開かれた臨時国会で所信表明演説を行った。そのなかで韓国について語った言葉が、韓国メディアにより一斉に、しかも比較的大きく報じられた。「韓国は重要な隣国、緊密に連携していく」という比較的コンパクトな言葉だった。

 そんな風に報じられると、まるで日韓関係の改善に何らかの動きが出てきたように思えてしまう。実際に朝鮮日報は「日本政府にも姿勢変化の兆し」と見出しに付け加えている。

岸田首相との会談をフライング発表

 韓国にいると、日韓関係改善に関する報道が何かと騒がしい。9月には、ニューヨークで開かれる国連総会で日韓両首脳の出席が予定されていると報じられ、ある朝、それにまつわるニュースで一気に目が覚めた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田首相との会談に向けて調整中と、大統領室が発表したというのだ。

「そんな話、いつあったのか?」と思い、NHKワールドにチャンネルを変えてみると、そんなニュースはまったく報じられている様子はない。ネットで検索しても、すべて空振りなのだ。