9月7日、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムに参加したロシアのプーチン大統領とミャンマー軍政のミン・アウン・フライン総司令官(写真:代表撮影/AP/アフロ)

 ミャンマーの軍事政権が全国的な電力不足を補う策として、原子力発電所の建設を目指している。

 もちろんミャンマーには原発建設のノウハウがない。そこで協力に乗り出しているのが、中国とともにミャンマー軍政の後ろ盾となっているロシアである。

 きな臭いのは、この構想、表向きは「国内の電力事情の改善」を掲げているのだが、一方で「ミャンマー軍政は限定的・小規模の核兵器開発・保有まで狙っている」との観測もあることだ。もしもそれが現実となれば、世界の軍事バランスを大きく揺るがす事態になりかねない。

 報道によると、ミャンマー軍政のゾー・ミン・トゥン国軍報道官は9月末、今後数年間で小規模の原発開発を目指すプロジェクトを実施に移すとの政権の計画を確認したという。

以前からあったロシア頼みの原発構想

 実はミャンマーには2000年代初めの軍事政権時代から原発構想があった。やはり慢性的な電力不足を補う打開策として原発導入が検討されたのだ。

 当時の歴代政権も「原発は原子力の平和的目的に限定した利用である」との立場を繰り返しているが、核兵器製造を含む軍事目的で原子力を利用する計画の第一歩ではないかとの懸念が持たれていた。

 そんな中でもミャンマーは2002年5月、中部マグウェ地方域に10メガワットの原子炉と研究所からなる「核研究センター」を建設する構想に協力してもらうことで、ロシアと合意していた。