9月30日、モスクワで開催された、ドネツク州、ルハンスク州、ヘルソン州、ザポリージャ州の併合を記念する式典に出席したプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[イングランド中部バーミンガム発]いまや精鋭部隊が撤退を余儀なくされるほどロシア軍は劣勢にあるようだ。

 米シンクタンク「戦争研究所」は、ウクライナ軍が10月2~3日の48時間、東部ドネツク州の要衝リマン周辺と南部ヘルソン州で進撃を続けている、と報告した。ウクライナ軍はリマンから東進を続け、ルハンスク州境を突破した可能性がある。両地域にはロシア軍の最精鋭部隊が展開していたが、戦争の長期化で兵力が劣化していることが浮き彫りになった。

「プーチンは失敗の責任を現場になすりつけている可能性」

 ウラジーミル・プーチン露大統領は9月30日、東部ドネツク、ルハンスク、南部ザポリージャ、ヘルソン計4州の併合を宣言。占領地域の防衛に集中する方針を国内外に示した。

 ところが、ドネツク、ルハンスク、ヘルソン3州でウクライナ軍の進撃を止められなくなっている。ロシア軍が先に撤退した北東部ハルキウ州と同じく最精鋭部隊の崩壊が原因とみられる。

10月3日、ロシア軍との攻防が激しいドネツク州で装甲車に乗り込み、カメラに手を振るウクライナの兵士(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアの軍事ブロガーによると、ヘルソン州のドニプロ川右岸沿いにウクライナ軍は30キロメートルも前進したが、これは「この戦争における最速の前進の一つ」という。この事態に、ロシアでは現場の司令官を更迭して責任をなすりつける動きが相次いでおり、「プーチンは軍事的な失敗の責任を自分からそらそうとしている可能性がある」(戦争研究所)という。