感心なことに、どちらの候補もこの問題を選挙運動の中心に据えている。両候補が採用したのは、サプライサイドの改革だ。
トラス氏は、財政赤字による減税と規制緩和という焼き直したレーガン主義政策を提案している。
早くから民営化を進めた英国は規制産業を刷新する必要があるとの主張は、その通りだろう。
今日のルールでは、年金基金や保険会社が創造性に富む英国企業の支援に回せる資金が滞留する。
その精神に基づくなら、イングランド銀行のマンデート(使命)を見直すことに害はないが、マネーサプライに目標値を設定する案は、率直に言って奇妙だ。
一貫性ではスナク氏が上だが・・・
一貫性はスナク氏の計画の方が上だ。
法人税を全体的に引き下げても投資や成長の促進にはほとんど貢献しないことから、設備投資と研究開発(R&D)に的を絞って給付を行うとしている。
またパンデミック再来のような緊急事態、気候変動問題や人口高齢化への対応に備えて、財政出動の余地を確保する公算が大きい。
さらに、地理的な理由から英国最大の貿易相手であり、今後もそうであり続ける欧州連合(EU)との関係を損なう公算は小さい。
ただし、スナク氏にも欠点はある。
英国でトップクラスの成功を収めている都市が拡大することができず、経済の足かせになっているにもかかわらず、住宅開発の制限を公約しているのだ。
この矛盾は、英国政治をひっくり返している支持者の変化に対処しようとするスナク氏の不器用な努力を反映している。
ちょうど労働党が伝統的な支持層と都市部の支持層の両方を喜ばせようとして悪戦苦闘しているように、保守党の党員や議員たちも一枚岩ではなく、社会的な保守派もいれば大きな政府志向のポピュリスト、地方の大地主、物議を醸す発言をする人までいる。
ジョンソン氏は常にすべての人に対して、聴衆が聞きたい話を語ったが、そのジョンソン氏でさえも彼らを長い間団結させておくことはできなかった。