(英エコノミスト誌 2022年8月20日号)

英国の保守党首選、テレビ討論会に登壇したトラス氏(左)とスナク氏(右)(7月25日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

次の首相は成すべき事が分かっているテクノクラートか、それをどのように実行すればよいか分かっている政治家になる。

 今日のような動乱の時代には、英国の保守党を運営することは英国自体を運営するのと同じくらい難しい。

 同国では9月5日、6年間で4人目の首相が誕生する。

 国民が見守るなか、ざっと16万人の保守党員が投票を行い、リシ・スナク氏かリズ・トラス氏のどちらかがダウニング街10番地(首相官邸)のカギを手に入れる。

 党首選に勝った人――足元ではトラス氏が優勢に見える――は、まさに混乱の極みにある国と、与党の地位を維持しながら3人の党首のクビを切った党を引き継ぐことになる。

 この記録は、信頼感を醸成する類いのものではない。

 これは不安を覚える原因になる。保守党主導の政権が12年続いてきた後、英国はインフレの発作と慢性的な低成長に苦しんでいる。

 それと同時に、昔からの支持政党の構図が崩れ、政治が不安定になった。

 今では裕福な国のほとんどがこうした現象の1つや2つに悩まされている。3つすべての深刻な症状が出ている国は、なかなか思い浮かばない。

どちらの候補も前任者よりはまし

 スナク氏もトラス氏も、人を触発する力が特にあるわけではない。

 イングランド中東部のピーターバラで選挙運動が行われた時には、ある子供から、次の首相にはラリー(首相官邸ネズミ捕り長官を務めるネコ)がいいなという意見が飛び出した。

 良い知らせは、どちらの候補者も7月に辞任した人物より優れていることだ。

 いかにも彼らしい話だが、ボリス・ジョンソン氏は今のところフォロースルーをせず、自分自身の「さよならツアー」にさえ姿を見せない。

 それとは対照的に、次期首相候補の2人は官僚が要点をまとめた報告書を理解できるし、関心を失うことなく最後までやり抜くことができる。

 首相になりたい理由も、世間から注目されたいというよりは目的を達成したいというものであるようだ。

 そして、変な言い方になるが、この2人は真実を詐欺師のように真っ二つに引き裂くのではなく、政治家のように針小棒大に語る。