中学校で習った図形問題は社会に出た後、どのように役立っているのだろうか

 夏休みですので毎年恒例の、親子で考える「自由研究」として図形問題(幾何)を取り上げてみましょう。

 大人の読者の皆さんは義務教育である中学で「図形問題」を習ったはずです。あれって一体何の役に立ったのでしょう?

 あるいは因数分解や2次方程式の問題など、社会に出てから少しでも役に立ちましたか?

 今回は中学で教える「幾何」が、AI時代をリードする人材に求められる「非認知能力」(https://www.embot.jp/news/36501)のカタマリであることをご紹介しましょう。

阿部恒氏による「折り紙」を用いた「角の3等分問題」の解決

「非認知能力」という言葉は、かなり困った使われ方をしています。

 元来、労働経済学のジェームズ・ヘックマン(2000年ノーベル経済学賞受賞)が言い出した時点では「現行の学力テストでは評価できない/しにくい能力」を指していました。

 ところが、イイカゲンな伝聞に伝聞を重ねる日本社会の悪弊で「テストで測れない能力」(https://edtechzine.jp/glossary/detail/%E9%9D%9E%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E8%83%BD%E5%8A%9B)などと書かれるようになりました。

「意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力」が高いと学歴や年収が高い・・・みたいな使われ方をしたために、幼児教育を中心に収拾がつかない状況になりかけている。愚かなことです。

 そもそもヘックマン自身は計量経済学者で、測れないものを問題などにはしていない。

「既存の、パターン化した、陳腐な」高校や大学の入試で現在使われている「ありがちな学力テスト」では評価しにくい能力群で、その客観的な測定や評価、また育成法などは、20世紀後半のマスプロ化した教育からほんの少し視線をずらせば、いくらでも存在します。

 実際そうした育成プログラムや教材のご相談をしばしばいただきます。

 そこで常に強調するのは「非認知能力だけ」ではダメだという基本です。

「認知能力」と「非認知能力」はコインの両面、車の両輪、双方揃って初めて力を発揮する。その典型として「中学の図形問題」を取り上げてみましょう。