2022年7~8月、日本の臨床致死率推移(東京大学ゲノムAI生命情報倫理研究コア)

 8月に入り、本来なら2023年1月に過去最大を記録するであろう、第8波の被害を最小にするべく、半年前から対策を立てるべき時期に入りました。

 ところが、現状すでに手の付けられない状況にある「第7波」で医療体制限界・保健所パンクといった、来たるべくして招いた事態で、日本の新型コロナウイルス感染症対応は逼迫しています。

 そうした中で、良心的な医療関係者の中でも「すでに致死率はゼロに近い」的な発言をする人がいます。

 根拠に基づかないそうした発言を残念に思いつつ、より詳細な分析をご紹介したいと思います。

 冒頭のグラフ、横軸は我が国の、毎日の新型コロナウイルス感染症新規罹患者数、縦軸は毎日の死者数です。

 一つひとつの点には統計的な誤差が含まれますが、大きくみたトレンドは、その国や地域のコロナ病態を大域的に示す、毎日の臨床致死率の推移を示す解析です。

 データの始点は7月1日、グラフの左下の方で、1日約2万3000人の罹患者数に対して21人の死者が出ている。

 その日だけ取り出せば0.1%近い致死率ですが、これは統計的なゆらぎの中の数字で、7月初旬、中旬の新規感染者数と死者数の推移は、大きく見て緑色の破線で示すような勾配に沿いつつ、細かな乱高下がある推移を見せています。

 緑色の破線を、分かりやすいよう原点を通るように示しましたので、傾きが「横軸10万人」に対して「縦軸約30人」つまり、大きく見て0.03%程度の致死率での推移であることが分かります。

 ところが7月下旬に入ると大きな変化が見られます。

 7月23日土曜日まで大まかに「緑のライン」で推移していた臨床致死率が、週末を挟んで7月25~27日にかけて、それまでとは大きく異なる「新規感染者数と死亡者数、双方の増大」を見せている。