8月10日、日本外国特派員協会で会見を行った田中富広・世界平和統一家庭連合会長(写真:AP/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 8月10日、岸田文雄首相は内閣を改造した。

 その背景にあるのは、支持率の急落である。5〜7日に行われたNHKの世論調査では内閣支持率は46%と、3週間前の調査から実に13ポイントも下がっている。これは異常である。同じ時期に実施された読売新聞の世論調査でも、57%と前回から8ポイントも下落していた。

落ち込む支持率

 この支持率低下の原因は、第一に、新型コロナウイルスの感染拡大である。各地で感染が拡大し、10日には全国で25万人を超えている。

 第二は、物価高である。ウクライナ戦争、そして円安で諸物価の高騰が止まらない。ガソリン、食料品など、日々の生活に直結する重要な問題であるだけに、国民の不満は爆発する。

 第三は、統一教会問題である。安倍晋三元首相の銃撃殺害事件を機に、この教団の反社会性があらためて浮き彫りになった。しかも、自民党、とくに安倍派の議員が選挙で支援されたり、献金を受けたりしていることが判明し、それが政権批判に直結したのである。

 その関連で、安倍元首相の国葬については、「評価する」が36%、「評価しない」が50%と、反対論のほうが多くなっている。これも、いち早く国葬を決めた岸田首相にしては誤算だったのではないか。

 安倍元首相狙撃は許しがたい犯罪行為であるが、統一教会問題の浮上で、思わぬ展開となってしまったのである。