世耕氏は訴状で「原理研や統一教会に対して、反社会的な団体であるとの印象を抱く者が少なくない」と明記。書き込みは社会的評価を低下させるものであるとして、名誉毀損に基づく損害賠償などを求め、2019年8月に東京地裁に提訴した。
自民党と統一教会の秘されてきた関係
確かに統一教会といえば、いわゆる霊感商法や合同結婚式が社会問題化し、資金集めや布教過程などで、違法とする司法判断が積み重なっていて、いまもあとを絶たない。「反社会的な団体」の評価は的を射ている。
訴えられたのは青山学院大学の中野昌宏教授。ところが、中野教授は事前に訂正や削除の要請もなく、いきなり提訴されたことを「スラップ」(権力者による恫喝訴訟)と主張して、2020年9月に世耕氏を反訴したのだ。いまも東京地裁で係争中だが、ここで中野教授側が反訴状の中で指摘しているのが、「反社会的な団体」と世耕氏が呼ぶ統一教会と自民党の関係だ。あえて「自民党と統一教会の密接な協力関係の歴史」とする項目を立て、証拠も添えて主張を展開している。
これをまとめたのは代理人の海渡雄一弁護士だ。海渡氏は社民党の福島みずほ党首のいわゆる“パートナー”で、先週、東京電力福島第1原子力発電所の事故をめぐり、東京電力旧経営陣4人に13兆円を超える損害賠償の支払いが命じられた株主訴訟の原告代理人でもある。
その主張するところを以下に列挙する。
○1954年に韓国で創設された統一教会の黎明期に、日本で密接な関係を築いたのが安倍氏の祖父の岸信介元首相だった。
○1958年に統一教会の宣教師がはじめて日本に上陸した時に、密入国で逮捕されている。これを庇護したのが日本船舶振興会(現在の日本財団)の笹川良一氏で、彼を通じて岸元首相が統一教会を支援するようになった。
○1964年には、統一教会本部が渋谷区南平台の岸信介邸の隣にあり、その後に渋谷区松濤に移った本部を岸元首相がしばしば訪れ、1970年、71年、73年と教会員を激励する講演を行った。