式は進んでいったが、真夏のソウルはうだるように暑い。あちこちで花嫁が熱中症で倒れ始めた。広告塔である桜田淳子などのVIP以外には飲み物も与えられていない。ラテンアメリカ出身らしき一人の花婿は隣で倒れた自分の伴侶を助けるでもなく、じっと文鮮明の顔を見つめたまま微動だにしない。やはり異様だ。

結婚式の儀式を行う教祖・文鮮明。このときばかりは会場も静まり返った(写真:橋本 昇)
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借金して合同結婚式に参加する信者も

 ここに集まった信者たちは一人あたり参加費30万円と感謝金140万円を統一教会に払ったという。アフリカなどの貧しい開発途上国から来た花婿は、田畑を売り、周りから借金までしてギリギリで来たとも聞いた。

 それでも韓国人カメラマンのキムさんによれば「アフリカ人は韓国の女性と結婚してリッチになるんだよ。韓国人は金を持っているから」というが、話の真相は定かではない。

 別のハンギョレ新聞の記者はこんなエピソードを披露した。

「アフリカ人との結婚が決まった韓国人花嫁の家族は泡を吹いてぶっ倒れたらしいよ。この国は結婚に関しては恐ろしく保守的だからね」

「いずれにしてもここに集まった男女は、入信に際しての家族とのドタバタの軋轢で疲れ果てた挙句に、この日を迎えているんだ。文鮮明は世界中の家族から怨まれているだろうね」