(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
三菱自動車工業(以下、三菱)が満を持して発売した軽自動車規格のEV(電気自動車)「eKクロスEV」に試乗した。
その乗り味は、確かに「しっとり」していた。
今回の試乗に際して、事前に三菱から商品企画担当者らよる説明動画のURLを通知されており、その動画の中で「しっとり」という表現が使われていた。このしっとりさこそ、三菱ならではのモノづくりの成果だと思う。
「ズッシリ」していた「i-MiEV」
時計の針を少し戻すと、2009年から2010年にかけて、三菱は軽EVの先駆けとなる「i-MiEV(アイミーブ)」の市場導入に向けて、様々な活動をグローバルで展開していた。その際、筆者は米ニューヨーク・マンハッタンや、仏パリのシャンゼリゼ大通り周辺などでi-MiEVの輸出用プロトタイプに試乗した。感想としては、「ズッシリ」と言いたくなる威風堂々とした乗り味で、軽自動車ベースのクルマという雰囲気がまったくなかった。
そのズッシリさは、重量の大きなバッテリーパックを床下に置くことで必然的に生じる低重心によるものだ。けっして「重ったるさ」はないが、軽快というイメージでもなかった。