NATO訪問中という事情を踏まえると、「だから欧州との関係強化が重要だ」という趣旨で経済首席秘書官として話したのだろう。

 この発言は、「脱中国」という見出しで経済メディアが大きく報じたが、経済首席秘書官にそこまで踏み込んだ意図があったかどうかは分からない。

28年ぶりの対中赤字

 だが、その3日後に発表になった貿易統計を受けて「毎日経済新聞」は1面トップでこう報じた。

「28年ぶり・・・対中貿易赤字が襲う」

 月次ベースの貿易収支で、2022年5月に11億ドルの赤字になったのに続き6月も12億1000万ドルの赤字だった。

 同紙によると、韓国の対中貿易は1994年8月に1400万ドルの赤字だったのを最後にずっと黒字だった。

 韓国の貿易構造は、「慢性的な対日赤字と巨額の対中黒字」だった。

 韓国にとって中国は輸出の4分の1を占める最大の仕向け先国であるとともに、「儲けさせてくれる国」だった。

 2018年には対中貿易黒字額が556億ドルに達していた。

 ところが2020年237億ドル、2021年243億ドルと急速に減少していた。

 今年5月、6月の赤字化は、中国がコロナ対策で一部都市を封鎖したことなどの影響もあったとみられる。

 だが、先の財閥役員は「一時的な現象なのか必死に分析をしている」と話す。どういうことか。