5月20日、訪韓した米国のバイデン大統領はサムスン電子の工場を訪問した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 危機に直面するたびにオーナーを中心に結束して猛烈経営で乗り切ってきたサムスンだが、世界経済が激変期を迎えている今回はどう動くのか?

 李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)サムスン電子副会長が欧州から帰国した2日後に、急遽、社長団会議を開き、事実上の非常経営体制に突入した。

 2022年6月20日、韓宗熙(ハン・ジョンヒ=1962年生)副会長、慶桂顯(キョン・ゲヨン=1963年生)社長のほか、サムスンSDI、サムスンSDS、サムスン電機、サムスンディスプレーの社長など、サムスングループの「電子関連グループ企業」の社長25人がソウル郊外の龍仁(ヨンイン)にあるグループ研修所「サムスン人力開発院」に集まった。

25人が8時間会議

 緊急の「社長団会議」を開くためだ。

 サムスンの発表によると、この日の会議では、「グローバル市場の現況と展望」「事業部門別のリスク要因点検」「戦略事業、未来事業の育成計画」などについて論議したという。

 会議は7時30分から8時間に及んだという。

 韓国メディアは、サムスングループでこうした「社長団会議」を開いたのは2017年2月にグループ本部だった「未来戦略室」を解体して以来初めてだと報じている。

 月曜日の朝から多忙なCEO(最高経営責任者)や社長が25人も集まって急遽8時間も会議を開く。

 その背景には、2日前の6月18日にグループ総帥である李在鎔副会長が欧州から帰国したことがある。

 李在鎔副会長はこれまでも海外に出かけては主要国の首脳や業界トップと会談を重ねている。

 今回も「仮釈放中」で何かと不自由にもかかわらず欧州を11泊12日の日程で訪問した。

 ドイツ、オランダ、ハンガリー、ベルギー、フランスの5カ国を訪問した。オランダ首相や世界最大の半導体製造装置メーカー、ASMLのトップと面談し、最先端研究機関であるIMECなどを訪問した。

 欧州各国に駐在するサムスン電子の駐在員とも会い、経済やビジネスの状況をチェックした。