「経済はどんどん悪化している。与野党で対立している場合じゃないのに・・・」
韓国の財閥グループ企業の社長はこう嘆く。首相を任命できない中で2022年5月10日、尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)政権が発足する。
「パーフェクトストームにちゃんと対応して克服できないと、韓国経済は再跳躍の機会を逸してしまう」
絶対多数野党で首相人事はどうなるか?
2022年5月2日、韓国の国会で開かれた人事聴聞会で尹錫悦政権の初代首相候補である韓悳洙(ハン・ドクス=1949年生)氏がこう話した。
「パーフェクトストーム」という強い表現まで使ったのは、韓国経済がすでに複合的な重大危機局面に入りつつあるとの認識を示し、自らの人事に同意するように求めたのだ。
韓悳洙氏はこれまで、保守、進歩政権を問わずに重用されてきたテクノクラートだ。
ソウル大経済学部卒業後に経済官僚になり、米ハーバード大で経済学博士号を取得した。
金泳三(キム・ヨンサム)政権で通商産業部次官、金大中(キム・デジュン)政権で大統領府経済首席秘書官、盧武鉉(ノム・ヒョン)政権で経済副首相、首相、李明博(イ・ミョンパク=1941年生)政権で駐米大使、朴槿恵(パク・クネ=1952年生)政権時代に韓国貿易協会長などを歴任した。
首相は、聴聞会を経て国会が人事に同意しなければ就任できない。
尹錫悦次期大統領は、国会で進歩系の「共に民主党」が絶対多数を占めていることから、かつて盧武鉉政権で首相まで務めた韓悳洙氏の起用を決めた。
ところが、野党は、公職退任後に在職した法律事務所での高額報酬などの理由をつけてこれに反対している。