韓国で尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)氏が大統領に就任するまで1か月。かつて新旧政権の引継ぎでこれほどぎくしゃくしたことがあったか。
「人事」を巡っても激しい応酬が続いている。
「いきなり情報機関幹部出身者が社長になったので驚いたが、金浦(キンポ)空港と羽田空港間の航空便復活に熱心な発言でひと安心した」
日本の観光業界関係者はこう話す。
情報機関出身の空港公社社長
2022年2月25日、金浦国際空港など仁川国際空港以外の韓国内の空港を管理運営する韓国空港公社の新社長にユン・ヒョンジュン氏(1967年生)が就任した。
大統領選挙を直前に控えた時期の有力公企業のトップ人事で業界内では「ほとんどの任期が次期政権と重なる」意味で注目を集めた。
人事が発表になると、韓国メディアも観光業界も、ユン氏の経歴に驚いた。
航空業界、観光業界、あるいは監督官庁の国土交通部出身とは縁もゆかりもない「情報機関出身」だったのだ。
ユン氏は延世大学政治外交学科を1991年に卒業した。
就職先はいまの国家情報院の前身である国家安全企画部だった。その前身は韓国中央情報部(KCIA)だ。
情報機関在職中の任務はもちろん分からない。
文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権で青瓦台(大統領府)サイバー情報秘書官を務めた後、国家情報院の事務方トップである1次長に昇格した。
北朝鮮関連の情報を統括する最高ポストだ。