大統領選挙前からの懸念がいよいよ現実になりつつある。韓国の中央銀行である韓国銀行の総裁人事だ。
新旧政権の対立で、空席になる可能性が高まってきた。
「えっ! いまニュースが入って来ました。今日の、文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領と尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)次期大統領の昼食会談が延期になったとの発表がありました」
昼食会談はドタキャン
2022年3月16日午前8時過ぎ、ラジオのニュース番組で司会者が驚きの声で緊急ニュースを読み上げた。
両者の会談は、前日から大きなニュースだった。この番組でも直前までこの話題で議論が続いていた。
韓国では大統領選挙の直後に、現職大統領が当選者を青瓦台(大統領府)に招いて会談する。
今回もちょうど選挙から1週間後の3月16日に2人だけで昼食を一緒するということが決まっていた。
「あの2人がどんな顔で再会して、何を話すのか?」。韓国メディアは数日前から高い関心を示していた。
因縁の2人
ただでさえ野党の大統領候補への政権交代だ。尹錫悦氏は選挙期間中、現政権を強く批判してきた。
それだけではない。2人には特別な因縁もある。
朴槿恵(パク・クネ=1952年生)氏が文在寅氏を破って当選した2012年の大統領選挙に政府情報機関が介入したことを検事として捜査して「左遷」されていた尹錫悦氏を抜擢したのは文在寅政権だった。
文在寅大統領は、「飛び級昇格」で尹錫悦氏を検察総長に起用までした。