尹錫悦氏に投票した立花家は全羅道ではマイノリティである(写真:新華社/アフロ)

(立花 志音:在韓ライター)

 韓国大統領選挙が終わり、1週間が経とうとしている。大接戦の末に大統領の座を手に入れたのは、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏だった。政権交代である。

「なにこれ!なにこれ!!!」と投票日の翌朝6時頃、穴が開くほどスマホを見つめながら部屋で叫んでいたのは息子である。

 投票日当日、PCR検査の陽性者は17時以降に投票しなければならなかったこともあり、開票作業は日付をまたぎ、当確が出たのは翌日早朝の4時頃だった。

 当日の夜は事前投票が多かった与党「共に民主党」の李在明候補の票数が多かった。

 夜の10時頃、全体の開票率はまだ20%程だったが、李在明候補の票数を見た息子は、「この国は終わったね、どっかの国に脱出する準備でもするかな、もう寝るよ」と先に寝てしまったのだった。

 政権が変わることを願っていた我が家は、家族みんなで尹錫悦候補を応援していた。応援していたと言っても、尹候補が好きで応援していたわけではない。消去法で残ったからだ。特に、李在明候補の当選を阻止するための投票を我が家は選択したのだ。

 筆者は韓国の全羅道に住んでいる。ここは光州事件のあった地域で、昔から左翼勢力の強い地盤である。住民は常に民主党(左派)を支持し、議員たちもほとんどが民主党だ。

 全体では接戦だった今回の選挙も、全羅道では李在明氏が85%以上の得票を得ている。

 我が家はこの地方では超マイノリティーな家族なのである。