「いったい、何から手を付けるのか・・・」
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)政権のスタートまで1か月を切った。新政権の人事を見ると、「経済」重視の姿勢が鮮明だが、課題はあまりに多い。
大統領選挙から就任までの2か月。韓国では、次期政権への期待が高まる時期だが、今回は、これまでにない冷たい雰囲気だ。
期待値は高くないが
各種世論調査を見ても、「尹錫悦氏が国政運営をうまく進めるか?」という質問に対して肯定的な回答はせいぜい50%台にとどまる。
これまで新大統領が就任する前後には、70~80%という高い「期待値」が出たのと対照的だ。
「世論やメディアの間で就任前後には、何はともあれ、期待を込めた視線で見守るというハネムーン期がない新政権」(韓国紙デスク)という見方が多い。
大統領選挙が、わずか0.7%ポイント差の大接戦だったことの「後遺症」という指摘もある。
さらに、大統領就任後わずか3週間で、地方選挙(6月1日、全国の知事、市長や地方議員を選ぶ全国規模の選挙)というもう一つの政治決戦があり、与野党ともに「臨戦態勢」が続いているためだ。
だから、尹錫悦次期大統領や、大統領職引き継ぎ委員会が何かの政策や人事を発表するたびに、与党(尹錫悦政権スタート後は野党)や進歩系のメディアはこれを批判し、野党や保守系メディアがこれに反論するという応酬が続いている。
大統領選挙期間中と変わらない激突
朝や夕方のニュースショーを見ていると、大統領選挙の時と変わらない激しいやり取りが、与野党政治家やそれぞれを支持する評論家などの間で繰り広げられている。
「ハネムーン」という雰囲気など全くない。
「新旧政権の激突」。韓国メディアにはこういう表現が頻繁に登場する。
大統領執務室の移転や公企業の人事、さらに、検察改革や法相候補人事などを巡る対立劇をメディアは連日、大々的に報じている。